京の手土産と指輪屋さん

雨も上がって、今日から三日間の休みなんだけども。
明日は、彼女の家に「結婚のご挨拶」に行かなくちゃならない。
二ヶ月前に「お付き合いしてますにょー」って挨拶したばかりなのにね。
いや、「にょー」とは言ってないけれど。
もともと、年内にさっさと結婚しなさいと言ったのはあちらのご両親だし、結婚式場の予約をしたことも報告済みだ。
「結婚することになりました」なんて報告、今更といえば今更ではあるんだけれど。
でも、だからって挨拶に伺わないわけにもいかない。
礼儀、大事。

で、今日のミッションは、「手土産を買おう」である。

スーツは誂えた。靴も磨いた。ハンカチとティッシュも準備万端。
あとは、手土産なのだ。

やはり、単に遊びに行くのとは訳が違う。
いいかげんな事はできないし、適当に駅の売店で間に合わせたものではまずいだろう。
やっぱりそういうところに誠意とか人柄とか出ちゃうもんだし。

なにより、俺にとっても親になる人たちだ。
それなりの礼は尽くしたい。


そんなわけで、何がいいかウンウンと考えに考えた末、
京都は姉小路通烏丸の「亀末廣」さんとこの「京のよすが」を手土産にすることにした。

困ったときの老舗頼み(京都人の必殺技)。
亀末廣さんは創業200年を超える、老舗の和菓子屋さん。
その看板商品の「京のよすが」なら、おめでたい席の手土産として恥ずかしくないだろうと考えたんだ。


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烏丸通りをテクテクと歩いて、新風館のちょうど北にある亀末廣さんの店舗に到着。
なんかもう、モロに「ウチは老舗どすえー」って感じの店構えだ。
ちなみにここのお菓子は通信販売もなく、この店舗で手渡しで買うしか手に入らない。
しかも日曜・祝日は定休日。
敷居高い高い。


ガラガラと杉の戸を開けて、店内に入ると‥‥
明治?いや、江戸時代か?って感じの超・アンティークな空間。


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京都らしい町屋作りの店内には、壁に吊るされた大福帳。重厚な木製のショーケース。
ランプの光で照らされたカウンターの上には、和菓子の見本がズラリ。
工房との仕切りに架けられた暖簾には、いかめしい文字で「御菓子所 亀末廣」と黒々と染め抜かれている。

見えないところでパソコンやレジスターもあるのかもしれないけれど、なんか時代劇の中に紛れ込んでしまったような感覚だ。クラクラする。

ちなみに上の写真で、木の箱がちょうど「四畳半」のように仕切られているのが「京のよすが」。
この仕切りの一つ一つに、カラフルで造形を凝らした干菓子や半生菓子が詰められたものだ。
今回のお目当てはコレね。


カウンターに並んでたのは一番売れ筋サイズ(16cm角)だったので、
「すいませんー。この『京のよすが』の、もうちょい大きいのありますか?」
と店員さんに聞いたら、奥から現物を出してきてくれた。
別に四畳半が六畳になったりするわけじゃなくて、四畳半のまま大きくなっているだけだがな。

20cm角のものを購入して、包装を頼んだら「のし」はどうするかと聞かれた。

ああ、「のし」な。
こういう時ってどういうのが正式なんだっけ?

わかんないので、店員さんに、「明日、結婚の挨拶に行くので、その時の手土産にしたい」と告げた。
そしたら、店員さんが、「少々お待ちください」って奥に引っ込んだんだ。


しばらく待っていると、さっきの店員さんに連れられて、奥から現れたのは、お歳を召した着物姿の女性。
たぶん、女将さんなのだろう。

女将さんは俺を見て、
「しばらく時間いただけますか?そういうことでしたら、箱詰めからやり直させてもらいます。」
と宣言した。

「は、はぁ。時間はいいですけれど‥‥」
「赤いのん敷いて、ちゃんとやらさしてもらいますえ。」
ニッコリ笑って、女将さんは奥の作業場に入っていった。

要するに、慶事用のスペシャルパッケージにしてもらえるということか。
ありがたい。
壁際の小さな椅子に座って、待つ。
「ちゃんとやらさしてもらいます」ってのが京都っぽい言い回しだなぁ‥‥なんて思いながら。


しばらくすると、若い店員さんが
「これで良いでしょうか」
と、綺麗に箱詰めされた菓子箱を見せてきた。
なんか、ビーズの箱をみるようだ。
色とりどりの、季節感溢れる干菓子がぎっちりと、赤い紙を敷かれた箱の中に詰められている。

「おめでたいように、松の葉の形のお菓子も加えましたえ。」
言いながら、女将さんも奥から現れた。


‥‥なんか、感激しちゃってなぁ。


これが、老舗の心意気というものか。
200年、手渡しで、客の顔を見て商いをしてきた理由が、コレか。
とんでもないな。

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のしは、無地で、松葉をあしらったものにしてもらった。
それを「亀マーク」の包装紙でくるんでもらって、これでどこに出しても恥ずかしくない「京の手土産」だ。

彼女のご両親に、伝わるだろうか。
いや、きっと伝わるだろう。



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買物の後は自動車のペーパードライバー講習の予約が入ってるもんで、あんまりのんびりもしていられなかった。
でもせっかくここまで足を延ばしたのだから、と、帰りに「俄」の本店に顔を出してみた。
結婚指輪・婚約指輪をメインに扱うジュエリー屋さんだ。
明後日に、彼女とここに婚約指輪を選びに来る予定になっているんだが、ちょっとフライング気味に様子だけ見ていこうと思って。

平日午後ということで、店内はガラガラ。あっという間に親切な店員さんにとっ捕まった。
ああー。


仕方ないので、日曜日に彼女と二人で指輪を見に来ることを告げた上で、相談にのってもらった。
相談というか、共謀?


彼女の前ではあまり値段の話はしないで欲しい、とか
彼女の好みはコレコレこういうものだから、そういう系統でいくつかピックアップしておいて欲しいとか。
きっとなかなか彼女は一つに決められないだろうから、プロの眼で「オススメ」してやって欲しい、とか。


そしたら、「彼女の前でお金の話はあまりしたくない、ということならば‥‥」ということで、
婚約指輪の値段を大きく左右する「ダイヤモンド」の品質の話を聞かされる羽目になった。


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「ダイヤの4Cってご存知ですか?」
「『カラット』と『カット』と『カラー』と‥‥なんかそんなんでしたよね?」
「よくご存知ですねぇ」
‥‥実は「パタリロ!」で得た知識だがな。


ようするに、カラット(重さ・大きさ)が大きくても、色が微妙に悪ければ値段はガンと下がる。
肉眼で見えない程度のゴミが入ってても下がる。
逆に小さくても、透明度が高くて不純物が少ないと値段は上がる。
そういう話だった。
ふむふむ。奥が深い。

で、その辺を踏まえて、予算内でいい感じの指輪を作ってもらうということだ。

まぁ、結局のところ、彼女の意見を聞かないとなんとも言えないんだが。


「んじゃーまた」と、ひょいひょいとジュエリーショップの階段を下りる。

老舗の和菓子屋(敷居メッチャ高い)やら、指輪屋さんやら。
なんか今日は、今までの人生ではありえなかったような場所にホイホイ出入りしているなぁ。
物怖じしている場合じゃないってのもあるが、なんか感覚が麻痺しているっぽい。

今ならどこにでもズカズカ入っていける感じだ。
無敵モード?

でも明日、「彼女の家に行って挨拶」だけはまだ緊張するんだよなぁ‥‥

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